故人様のための食事、陰膳（かげぜん）とは？

陰膳（かげぜん）という習慣をご存知でしょうか？
陰膳は古くからある習慣で、現在では亡くなった方の法事や法要などで行われます。
配膳の仕方や方法などにきまりがあるため、基本的なことだけでも知っておくといざというときに慌てずにすみます。

陰膳（かげぜん）とは

わかりやすく言えば、仏壇に食事を配膳すること、故人様のお食事のことを指した言葉です。
現在では亡くなった方の法事や法要などで行われ、精進落としなどのお食事の際に故人様にも陰膳をお出しします。
元々は遠く離れた家族の無事を祈るという意味合いもありました。
昔は連絡すら取れないことが当たり前でしたので、陰膳により遠くの家族の無事を願って陰膳が行われていたようです。

現在では、陰膳は故人様が安全に極楽浄土へ到着するためのお祈りとしての役割があります。

どんなお料理？

陰膳は、一汁三菜を基本とした精進料理です。
仏教では殺生が禁止されているため、肉・魚・卵などは使いません。
また、修行の妨げになるとして臭いや刺激の強いにんにく・ネギ・らっきょう・ニラなども禁止されています。

煮物や和え物など、豆腐や野菜中心のものが望ましいです。
普段のお食事と同じようなもので構いません。
また、家族と同じものをお供えしても問題ありません。

陰膳から配膳する

法事などで参列者や家族などが集まった際には故人様が上座と考えるので、最初は陰膳からお出しします。
ですが、お寺や地域によって異なる場合もありますので事前に確認をするようにしましょう。

配膳の位置

陰膳は、位牌や写真の前に配膳します。
「膳引き」という台の上に乗せるようにしますが、位牌や写真などを移動する際には落としたりしないよう注意が必要です。
陰膳とお箸を置く際には、故人様から見て食べやすいように配膳します。
ですので、自分が普段置いている向きと反対に置きましょう。
わかりにくければ、自分で食べるようにセットして、そのままくるりと故人様の方へ向けると間違えがないかと思います。

お下がりはいただく

陰膳をお供えしたら、必ずお下がりをいただくようにしましょう。
陰膳でお出しした料理を仏壇から下げルことを「お下がり」と言います。
陰膳を供えることが供養だと思われがちですが、お下がりを家族が口にすることが供養になります。
一口でもよいので、必ずお下がりをいただくようにしましょう。
いただくときには、故人様が無事に旅立てるように祈りながらいただきます。

お下がりは捨てない！

供養のためのお食事ですので、故人に供えた料理を捨ててはいけません。
食べきれない場合は、次の食事でいただきますが、
そのときにお供えしたお下がりは、一口でもいいので口にするようにします。
自宅の外で陰膳を行った場合は供えた料理を持ち帰りいただくようにしましょう。

陰膳とお供えは別物

陰膳とお供えは同じ意味だと思っている方も多いと思いますが、これらは別物です。

【お供え】
仏様を崇拝する意味で捧げます。
線香や果物、お菓子などが代表的なお供えです。

【陰膳】
故人様を偲び、極楽浄土に行けることを祈ったり、遠くの身内の無事を願ったりという意味があります。
家族の食事の際に、共に食事をするために供えます。
陰膳は故人様が無事に旅立ち、仏様になれるように家族が行う応援の意味で行いますので、
四十九日まで毎日欠かさず行うのがよいでしょう。

四十九日が終了したら故人様は仏様になりますので、
陰膳は終了してお供え物を供えるようにします。

陰膳とお供えは似ているように思いますが、まったく別の意味合いのものです。

法事や法要などで行う陰膳には、「故人様が無事に極楽浄土へ到着するためにお祈りする」というとても大切な意味があります。
法事や法要を行うときになって初めて「陰膳」を知る方も多いかと思いますが、
大事な供養ですので覚えておいていただき、
四十九日まで大切に行うようにしましょう。

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